器械出し看護師ってどんなことするの？

器械出し看護師の役割とポイント

器械出し看護師の役割は術前、術中、術後で大きく３つに分かれます。

それぞれ役割と抑えておきたいポイントについて解説します。

術前の役割とポイント

①　滅菌状態の確認

　多くの施設では、器械出し看護師が器械を展開する役割を担います。その際は、滅菌状態の確認が必須です。これは、術野に細菌などが侵入しないようにするためです。滅菌方法は器械や衛生材料の素材により異なり、いくつかの種類に分類されます。そのため、適切な滅菌方法が用いられているか、インジケーターの確認が重要です。

②　器械の準備は手術のスタートを左右する

　患者の全身麻酔の時間を短くするためにも、器械の過不足がない準備が大切です。例えば、手術開始直後に必要な電気メスや綿球が準備されていなければ、その時点で手術が中断されてしまいます。全身麻酔の時間が長引くと、患者への負担も大きくなります。低限必要な物品が揃っているかを、術前にしっかり確認しましょう。

③　医師の特徴をつかむ

　すべての医師が同じ器械を使うわけではありません。術式や医師によって使用する器械やエネルギーデバイスは異なります。同じ医師の手術を何度か担当すると、徐々にその医師の特徴がわかってくると思います。特徴を踏まえて準備しておくことで、スムーズな器械出しが可能となり、信頼構築にもつながります。手袋のサイズなどの細かい情報を把握することも、信頼を得る一歩です。

④　器械・衛生材料の正確なカウント

　術前に器械や衛生材料（ガーゼや綿球など）の数を正確に数えることが非常に重要です。これは、体内遺残のリスクを防ぐための基本的な手順です。術前に数えた数と術後のカウントが一致しない場合、体内に遺残している可能性が考えられます。そのため、正確な術前カウントが命を守ることにつながります。

術中

①　術野の観察は最優先　

　器械出し中、手元の器械のことで頭がいっぱいになると、術野から目を離しがちになります。特に血管周囲の操作や緊迫した場面では、術野を注視することが大切です。器械の準備と観察を両立するバランス感覚が求められます。

②　常に先読みを意識する　

　器械出しは「言われたものを渡す」だけではなく、先を読む力がとても重要です。先読みができるようになると、手術のスムーズさが格段に向上します。最初は難しくても、先輩の動きを観察することで自然と身についていきます。

③　外回りとの連携がカギ

　器械出しと外回りは役割が異なりますが、協力し合うことが非常に重要です。「次にこの器械が必要そうです」や「出血カウントお願いします」など、積極的な声かけが円滑な進行に役立ちます。

④　医師の会話にも耳を傾ける

　医師同士の会話には、次に必要な器械のヒントが隠れています。たとえば「ここを結紮しようか」という声が聞こえたら、シルクの準備を考えるなど、行動に移せると◎です。

⑤　器械名を復唱する

　医師に器械を渡す際は、器械名を言ってから器械を渡しましょう。医師から言われた器械を渡す時、聞き間違いをしてしまう可能性があります。ですが復唱して渡すことで医師が器械を使う前に、間違いに気づくことができます。患者に使う前に間違いに気づくためにも復唱することが大切です。

術後

①　器械の片付けと最終カウント

　手術が終わっても、器械出し看護師の仕事は続きます。使用した器械をカウントし、術前と数が合っているか確認するのが基本です。もし相違があれば、体内遺残のリスクがあるため、必ずチェックを怠らないようにしましょう。

②　　振り返りで成長する

　術後に先輩看護師と振り返りを行うことは、自分の成長につながります。できたつもりでも、第三者からのフィードバックで新しい気づきがあるかもしれません。まずは実践してみて、自分に合うかどうかを判断しましょう。

まとめ

今回は器械出し看護師の役割について解説しました。

術前・術中・術後すべてのフェーズにおいて、器械出しはチーム医療の要となります。

これから器械出しを始める方や、新人看護師の皆さんの不安を少しでも解消できたら嬉しいです。

今後も、役立つ情報を発信していきますのでよろしくお願いします！